川村式速読の原理
「見る」効果 ①
人間が持っている五感機能の内、約83%は視覚が司っており、情報収集の80%は「目」を通じて行われています。つまり、『見る』ことが脳内部で情報の「伝達」「統合・整理」「認知」「記憶」などをするための機能に刺激を加える最大要素となっているわけです。
脳には「可塑性」(かそせい)という外部からの刺激(特に視覚を通じての情報)に、柔軟に順応する特性があります。例えば、自動車で一般道路を40kmで走行し、次に高速道路で100kmの走行をしたときに最初は速いと感ずるものの次第に速度に慣れてきます。続いて、一般道路に戻り再び40kmで走行するとやけに遅く感じるのはそのためです。
「見る」効果 ②
速読のトレーニングは、「読む」練習ではなく、段階的に設定された速度でコンピューター画面に表れる文字テロップや特殊教材などの文章を「見る」ことから始まります。
過去に体験したことのない高速状態で目の前を文字が移動した場合、文字の形や意味を認識することは不可能にせよ、単なる物体として物理的には「見る」ことが可能です。
「見る」機能を速度的に先行させることで脳の可塑性が作動し、追いかける様に文字の形や意味、あるいは、文章内容を認識する他の機能も速度的に向上します。
この状態は自動車の運転時の感覚と同じで、元の速度に戻ったときには自分の読書速度が遅く感じるようになります。逆に言えば、数倍速く読めるようになったということです。
「慣れ」の状態をつくろうとする
速読をすることにより、「見る」のレベルが大幅に引きあがり、他の「思考」「理解」「記憶」「感性」「その他」も潜在意識の次元で引っ張られる形でレベルが上昇します。
減速により「見る」と「理解」がジョイントする
速読を中止した後、「見る」のレベルは元に戻りますが、他の「思考」「理解」「記憶」「感性」「その他」は、速読により引き上げられた状態から戻らず上昇したレベルのままとどまります。
自分の理解度や感覚は劣化していないのに読書速度は速くなっているという現象が生じます。読書速度の向上という点について言えば、この論理を応用した練習を繰り返すことで定着します。